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2022/8/31 (水)
椎間板ヘルニア雑感
毎月のようにミニチュアダックスの椎間板ヘルニアの症例に携わりますが、色々と思うところがあります。
治療法として私が行っている外科的に背骨を削り、脊髄を圧迫している椎間板物質を取り除くのが最もポピュラーで信頼度の高い治療法です。
他の外科的治療法としてキモパパインという蛋白分解酵素による椎間板の融解や椎間板ヘルニアレーザー治療(PLDD)もありますが、これらは椎間板ダメにしてしまう治療法であり、一時それらの治療法が人医で使われるようになった影響で犬でもどうかと、その時は言われていましたが、人医の方でも現在は使用されなくなりました。
犬(特にミニチュアダックス)と人では椎間板ヘルニアの病態が異なり、人ではヘルニア物質が盛り上がって脊髄神経を圧迫(例えると丘のような感じで物が下から押している状態)しているが、犬では椎間板物質が突出(例えると火山が噴火したみたい?)している症例が多いので、人と同じというわけにはいきませんし、椎間板を破壊してしまうのはその後の生活にかなり影響があることが分かったためです。
その他に針によりツボ刺激で治ったとか、サプリメントで治った等々ありますが、これらは統計的な結果を示しているのではなく、あくまでも症例報告であり、たった1例づつの発表です。
考えれば分かる事ですが、椎間板物質という「物」が神経を圧迫しているので物理的に取り除かないで圧迫が取れるはずがなく、針やサプリで改善したのならその子たちは極軽症または何もしなくても改善するレベルではないかと個人的には思います。
もちろんサプリや針がダメなのではなく、役割が違うのではないでしょうか。物理的に圧迫物質を取り除いた後に神経を刺激したり、栄養的に補うことは重要であり必要でもあります(例えば血管が切れてピューピュー血液が噴出している時に止血剤や増血剤ではなく、まず血管を縛って出血を止めなくてはなりません。その後で内科治療かとおもいます。)
20年以上前には高容量のステロイド療法が教科書に載るほど一般的な治療の一つにもなっていましたが、その後ステロイドは使うとダメだと、全く逆の方向性になったりもしています。これとて、低容量短期であれば圧迫されている神経やその周囲の炎症を引かせるためには上手く使えば良いのではないかと思っています。更にミニチュアダックスの流行はじめの頃は若い(3〜5歳)子の病気だなんて言われていましたが、結局はどの年代でも発症しうることが今では当たり前になっています。
現在の所、術後のリハビリで効果を感じているのが、足の引っ張りなどの刺激と針を刺して電気を流すこの2つであり、電気針治療を行った日に立ち上がったり大きく改善が見られたのはかなりの数に上ります。
椎間板ヘルニア(重度)の治療段取り
椎間板ヘルニア疑いで来院
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速やかにMRI検査
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確定されれば1両日中に手術
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問題なければ3日ほどで退院
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リハビリ通院