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猫の爪抜・爪とぎ
この処置は本来猫にとっては必要がなく、人間の都合のために行われることがほとんどです。
しかし、壁等を少しでも爪により傷を付けてしまうとその部屋では住むことができなくなるとか、赤ん坊がいて、その子を引っかいてしまうなどの理由は飼い主さんにとっては重大なことであると思います。
そのために、これまでかわいがっていた猫を手放さなくてはならないのでは飼い主さんも辛いし、可愛がられていた猫も辛いかもしれません。
ではどうしたらいいか?この悩みは古くからあり、昔は爪の根本(骨ごと)からばっさり切って爪が伸びなくなる方法が行われていました。
しかし、この方法は猫にとって非常に痛みがあり、不快感の強い手術でした(自分の手の指10本全てを第1関節から切り落とすことを想像してみてください)。
ハルどうぶつ病院で行う深指屈筋腫切断術と呼ばれる比較的新しい技術を用いると、最小の術創で同様の結果が得られます。これは、爪を出す靱帯を切断する術式です。ただし、爪は残りますので当然伸びますが、靱帯を切断することで、爪を自分で出すことができなくなるのです。
これは靱帯を露出している写真です。
この靱帯を切断することにより爪を出すことができなくなります。
靱帯を切断することによる痛みはほとんどないようです。前肢の指10本全てに行いますが、切開創が小さいため次の日には普通に歩いている子がほとんどです。海外の外科の教科書にはちゃんと載っている術式なのですが、まだ日本の教科書にはあまり載っていないようです。
術後です。パッドの間を3mmほど切開してます。
これが以前から行われている骨ごと爪をとってしまうという手術になります。
確かに根こそぎ取ってしまうので爪が生えることはありません。何例か見たことがありますが、手術中(麻酔が効いているとはいえ)も無惨ですし、麻酔が覚めてからも非常に痛みがあり、自分に置き換えたらとてもできません。まるで拷問です。当院において指先に腫瘍ができたので外科的に取り除くために切断したことがありますが、その時はレーザーで行いましたので術後あまり痛みを訴えはしませんでした。しかしこれを前足10本全てに行うとなると麻酔時間も長くなるし、どうかと思います。
必ず考えてほしいのは、本来ならこのような手術は必要のないことであるということです。
人間の都合でしなければならないということなのです。かといってかわいそうだから野生に放すなんていうのはこれまた人間のかってですし、これまで飼われていたのに突然ほっぽり出されて大丈夫なわけありません。
いっしょに居られるようによりよい方法、better なbestに近い方法を考えてみてください。