異物①
異物① ~桃のたね・リンゴなど)
異物を飲み込んでしまい、内視鏡機器を用いてハルどうぶつ病院で処置を施した症例です。
数日前にマスクを飲み込んだらしい?症例です。飼い主さんはすぐに他院にて診察をしてもらいましたが、症状が出るまで(?)様子を見ましょうと言われ帰宅、数日後に当院に来院したときのエコー像です。
上記写真のようにマスクがねじれてありました。それも赤丸の部分は幽門部(胃の十二指腸への出口)に半分はまり込んでいます。このまま様子をみていたら数日後には嘔吐が止まらず、開腹手術になっていたでしょう。
マスクのような紙や布成分だとレントゲンにはほぼ写りません。しかしエコー検査で疑わしい物があるかどうかは判断できます。犬の大きさが3kgちょっとで、人用のマスクを飲み込んだのであれば間違えなく胃にあるか、流れてしまうと腸で詰まります。
当院でも異物を飲み込んだ場合、何でもかんでも検査や手術をするのではなく、様子を見る場合もありますが、動物の大きさや飲み込んだ物の大きさを考慮しなければなりません。例えば40kgもある大型犬ならこの程度のマスクなら通過する可能性が高いですが、この子の大きさでは100%無理です。
2kgのトイプードルが慌てて飲み込んだ果物が食道にひっかかった症例です。
午前中に来院されたので、お昼には無事食道内から胃へ落として終了です。
数時間のことですが、この短時間でも食道に炎症像が見えました。
食道には消化液が無いのでたとえ食べ物でも運悪く留まってしまうと、食道粘膜に障害を起こします。小型犬は小さいものでも注意が必要です。
食べた現場を目撃したらもちろんのこと、食欲が無い、吐きそうで吐かない、よだれをたらす、などの症状が見られたらとりあえず病院に行きましょう。
チワワの食道内にリンゴがとまってしまった写真です。右はリンゴを取り除いた後の食道の状態ですが、炎症を起こしています。
このように異物(消化できないもの)ではなく、食べ物でも食道にひっかかってしまうことがあります。
これは依頼症例で桃の種を飲み込んだシェルティの胃の中です。
この大きさになると胃から先に行かないし、吐かせようにも胃から食道にも戻らないです。
これも異物の症例ですが、この症例は非常に注意が必要です。
内視鏡を胃まで進めたところで、「異物があったー!」なんて気合い入れて異物を引っ張り出そうとすると大変なことになります。
右の写真は胃の出口(幽門部)のところです。この写真から異物は繊維性の物が絡んでいて、さらに幽門から十二指腸へ繋がっているということです。異物の先端は小腸のどこかまで行っている可能性があり、それが糸状ということは無理に引っ張ると腸が切れてしまいます。実際この子も糸が絡んだプラスチック製の異物の先端が十二指腸のかなり先まで進んでいました。このような場合は速やかに開腹手術に切り替えることが肝心です。
次の症例
これもひも状異物で写真は胃の出口(幽門)からひもが十二指腸に入り込んでいる写真です。この場合ひもが太い事と、つまんで引っ張ると動きそうだったので少しずつ引っ張りながら胃に戻しました。
長さが50cm位ありました。
何とか時間はかかりましたがお腹を開けずに次の日退院です。