食道狭窄(食べてもすぐに吐く、よだれが続く)
食道狭窄
食道狭窄という読んで字のごとく、食道が狭窄する病気です。
食道に腫瘍がない場合で、胃酸の逆流や嘔吐を繰り返したりしているうちに、食道が傷つき、そこが瘢痕化を起こし、徐々に内腔が狭くなってしまう病気です。わんちゃん・ネコちゃんどちらも起こします。
当初は飼い主さんも気がつかないことが多いですが、進行とともに液体を飲んでも吐かないが、固形物は吐く、それが徐々に進行し最終的に液体すら吐くようになります。以前食道の内腔に胃までの穴が全く見あたらなくなってしまった症例もありました。あまり時間を置かずに処置をしていればなんとかなった可能性があります。
上の画像はバルーンダイレーターというものです。大中小と3種類はストックしてます。
これを内視鏡から食道内に入れ、さらに食道狭窄を起こしている部位でまだ残存している穴に入れ、バルーンを膨らませることで食道を広げるというものです。
このバルーンはディスポで5万円以上しますが、通常数回の処置が必要なため、その子用のバルーンとして数回は使用しますので多少負担が少ないと思います。バルーン処置に比べて手術となると、胸部を開け、患部食道を切除し、また縫合し繋げるということになり、かなり大がかりな上に、食道は他の腸管に比べ接着が悪いため、患犬や患猫にとっては内視鏡によるこの処置は非常に体への負担も少なく、リスク軽減になります。
正常な食道の太さです。
狭窄して2〜3mmになっています。
バルーンにて広げたところです。
この後次回処置まで内腔が狭窄するのを少しでも止めるためにお薬を飲ませていただきます。
症例2
左のレントゲン写真はバリウムを飲ませた画像です。狭窄した部位の手前でバリウムが停滞しています。
そして右の写真は内視鏡を入れて狭窄した部位です。
狭窄部位に全く穴ありませんでした。こうなってしまうと穴を広げるためのバルーンが入らないためお手上げです。特に猫は狭窄スピードが速いので何とか小さい穴でも残っているうちに処置ができればよかったのですが。
症例3
子猫の食道狭窄です。
あまりに体が小さいと内視鏡が入らないですが、1.5kgせめて1kgはほしいところです。
バルーンの挿入
1回目の拡張後です。