認知症
犬の認知症
ペット医療の発達や飼育環境の改善等により寿命が延びてきました。それに伴い「夜泣き・遠吠え」「徘徊」などの症状を出すワンちゃんが増えてきました。昔はほぼ柴犬という印象でしたが最近は他の犬種でも発症しています。
一番問題になるのが夜の鳴き声ではないでしょうか。昼間はぐっすり眠っていたのに、家族が寝静まった夜中に起き出して徘徊したり、近所迷惑なくらい大きな声で鳴いたりするため飼い主さんが眠れず睡眠不足やノイローゼになってしまうこともあります。
人での話ですが、一括りに「認知症」と言っても、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉型認知症など多くの型が存在しています。
更に認知症だと思っていたら実は違う病気(治る病気)のこともあります。
徐脈;心拍数の低下により意識障害を起こし認知症と誤認。
発熱;発熱による意識障害により認知症と誤認。
甲状腺機能低下症;活動性の低下により認知症のように誤認されます。これは認知症以外にも犬では皮膚病の原因だったり、椎間板ヘルニアと誤認された症例がありました。
糖尿病;高血糖による意識混濁により認知症と誤認。
慢性硬膜下血腫、水頭症など頭蓋内疾患も認知症と誤認されることがあります。
実際問題として犬の認知症で頭部CTを撮影する事は費用の問題や全身麻酔が必要あることから、やや敷居が高いのが今現状の状態です。
最低限必要な血液検査を行った上で、お薬を使う事になります。
昔は睡眠導入剤、睡眠薬や鎮静薬等がメインで単純に眠らせることを目的として薬が使われていました。個体差も激しく、更に用量がどんどん増えてしまい、強制的に眠らせるために飲食ができなくなり衰弱してしまうこともありました。
最近は人で使用される認知症薬を使う事で副作用もほとんど無く、症状を抑えることができます。
認知症の薬にはアクセル系とブレーキ系があり、犬の認知症ではアクセル系の薬に効果があるように感じています。